炭鉱でホッパーに石炭を積み込んでいるところ。 |
終点の機関区のある集落、右のレンガの建物は |
デルタ線に入るC−2 ロコ | デルタ線で方向転換し終えバックで進入するところ。 |
赤錆びた廃車体のようなボロボロの機関車であるが現役である |
中間駅の向陽 トンネル側は英豪へ ホッパー右側の線路は炭鉱へ 左側への分枝がデルタ線となっていて 建物がデルタの真ん中に入っている状態である。 |
陽駅 手前のカーブしたレールが英豪側から入るデルタ線 |
写真の撮影は2005年3月 |
中国ナローのデルタ線
Delta=三角形のものと言う事であるが 鉄道におけるデルタ線は 三角形状の線路配置を利用して機関車または
列車の方向転換に使われることを意味している。 日本におけるデルタ線の使用例は 客車時代の特急つばめ、
はと、かもめ、はつかり等の固定客車編成の方向転換に つばめ、はとは品川、客車、かもめは京都竹下、はつかりは
尾久、青森付近のデルタ区間を複雑に利用して 列車単位で方向転換していた例がある、 機関車に関しては日本では
ターンテーブルを使うのが一般的で、デルタ線を使っての方向転換は ほとんど見かける事がなかった。
アメリカにおいては 本格的なターンテーブルがあるのは 大きな機関区だけで、スタンダードゲージにおいても機関車
の方向転換にはデルタ線が使われる場合が多く存在していた。
旧D&RGW の保存鉄道であるシルバートーンPRの終点では 機廻し線というものはなく列車ごとバックでデルタ線
に入り 方向転換していたし、C&TTRR のアントニートでは デルタでなく広い大地を360°1周して列車ごと向きを替え
てしまうというシーンを体験し 日本とは違うスケールの大きさに感心したものだった。
今回2005年3月の旅での発見は 中国河南省西安に近い三門峡付近の英豪という町にあって、ナローゲージのSLが
現役で活躍する石炭を運ぶための 10kmほどの専用鉄道で使われているデルタ線の存在である。 機関車は0-8-0
テンダー機で 28トンの C-2タイプという 中国のナローのSLとしては ポピュラーな規格形の機関車であってこの英豪
の専用線で使われている C-2形のSLは 2つ目のヘッドライトが特徴だが 機関車の状態はすこぶる悪く廃車体のよう
に錆びたものや キャブが変形したものもあり 工事現場でドロまみれで働く生きた工作機械のようで
今まで見てきたC-2形の機関車では 最悪のコンディションであった。
これら機関車の方向転換のために英豪と途中駅の向陽それに機関区や社宅のある終点の3個所にデルタ線が没置
してあった。
デルタ線の終点部は機関車1台分くらいしか有効線がなく 列車単位の方向転換ではなくあくまでも機関車の向きを
替えるための 実にシンプルなナロー的 かつ合理的なレイアウトである。
中間駅の向陽には 石炭貨車のヤードがあって ここから分かれる1kmほど先の炭鉱へ貨車3両ほどをプッシュプル
運転で運び出し、ここで集結したものを 1列車として英豪へ輸送している、 3kmほど先の社宅や機関区のある終点
までの運用は 乗勢員交代や機関車交代の時だけのようで 私が訪れたときには 炭鉱―向陽―英豪間で3台が移動
しており、1台は火が入ったまま機関区で整備中であった。
機関区のある終点の集落の情景がまた Very Nice だ、 仕事を終えて帰ってきたロコが給水、火床整備しやがて
デルタ線に入り 方向転換 機関士ひとりの作業であることから デルタ線に入る毎に 機関車から降りてポイント切替を
3回行っている 作業がナローゲージらしい。
北京、上海等 経済発展の 目覚しい進歩をとげている中国であるが 日本では もう見ることのできなくなってしまった
ナローゲージの情景が 2005年の今もなを現在進行形で生きているのであった。
2005年3月 T・Yamamoto